「 墓誌銘にみる楷書の美 」

台東区立書道博物館 「墓誌銘にみる楷書の美」
企画展 中村不折コレクション
「墓誌銘にみる楷書の美」 展示一覧
平成22年 5月18日(火)〜7月11日(日)
本企画展では、南北朝〜唐時代までの墓誌の拓本と、現存するわが国最古の墓誌「船氏王後墓誌」の拓本、あわせて34点を紹介いたします。また、南北朝時代の代表的な墓誌である四司馬墓誌の1つ「司馬昇墓誌」をはじめ、墓誌の原石11点も展示しています。国内では見ることが難しい貴重な墓誌の実物を、この機会に是非ご覧下さい。

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【1F 第1展示フロア-】
司馬昇墓誌

東魏・天平2年(535)

懐県(河南省)の官として善政を行った司馬昇の墓誌の原石。清・乾隆20年(1755)、「司馬紹墓誌」、「司馬昞墓誌」、「司馬景和妻墓誌」と同時に出土し、“四司馬墓誌"と称されている。
王才及夫人毛氏墓誌

唐・麟徳元年(664)

王才とその妻・毛氏の墓誌の原石。王才は貞観16年(642)に、そして、毛氏は麟徳元年(664)に没し、2人を埋葬するにあたってこの墓誌が制作された。丈夫な石質により、鮮やかに刻まれた線質を直に見ることができる。

【1F 第1展示フロア-】
大型展示ケース
臨顔真卿裴将軍詩軸

中村不折(1866〜1943)筆/大正7年(1918)

唐時代に活躍した大家・顔真卿の書として伝わる「裴将軍詩」を不折が臨書し、健筆会展に出品した超大作。
白鳥先生碑

中村不折 筆/昭和2年(1927)

幕末〜明治の教育者・書家であり、少年時代の不折にも書を指導した白鳥拙庵(1821〜1893)の石碑の拓本。
1:劉懐民墓誌銘(2種)

南北朝(南朝)劉宋・大明8年(464)

斉、北海(山東省)の2郡を治めた劉懐民の墓誌の拓本。南北朝時代・南朝の数少ない墓誌銘の1つである。

【1F 第1展示フロア-】
展示ケース
2:元緒墓誌銘

北魏・正始4年(507)

北魏王朝の皇族・元緒の墓誌の拓本。銘文によれば、政務に賢人を重用し、皇帝や国家に正道を示したとある。
3:元勰墓誌銘

北魏・永平元年(508)

北魏王朝第5代皇帝・献文帝の子であり、第6代皇帝・孝文帝の弟にあたる元勰の墓誌の拓本。
4:司馬景和妻墓誌銘

北魏・延昌3年(514)

美しく、慎み深い人柄で、17歳で司馬昞(字は景和)に嫁いだ孟敬訓の墓誌の拓本。5男3女に恵まれたという。
5:皇甫驎墓誌銘

北魏・延昌4年(515)

新平(河南省)を含む4郡を治めた皇甫驎の墓誌の拓本。彼は道理に従い、思慮深く行動する人物であったという。
6:元遥墓誌銘

北魏・熙平2年(517)

北魏王朝の皇族の出身で文武ともに優れ、南方征伐に赴くなど、武将として活躍した元遥の墓誌の拓本。
7:刁遵墓誌銘(出土初拓)

北魏・熙平2年(517)

賢人を尊び、民衆の声を聞き入れる人柄で、洛陽(河南省)を含む地域において善政を行った刁遵の墓誌の拓本。

【2F 第2展示フロア-】
8:崔敬邕墓誌銘(最旧拓)

北魏・熙平2年(517)

営州(遼寧省)の官として善政を行った崔敬邕の墓誌の拓本。当館本は数少ない貴重な最旧拓本である。
9:元新成妃李氏墓誌銘

北魏・熙平2年(517)

北魏王朝第4代皇帝・文成帝の弟にあたる元新成の妻・李氏(名は不明)の墓誌の拓本。
10:李璧墓誌銘

北魏・正光元年(520)

政務では皇帝に仕える重臣の補佐を務め、軍事では多くの賊軍を討伐して功績を挙げた李璧の墓誌の拓本。
11:司馬顕姿墓誌銘

北魏・正光2年(521)

北魏王朝第7代皇帝・宣武帝に仕えた司馬顕姿の墓誌の拓本。真心で皇后に仕え、宮女もいたわる女性であった。
12:元華光墓誌銘

北魏・孝昌元年(525)

王氏に嫁いだ元華光(華光は字)の墓誌の拓本。彼女は親しみを持って人と接し、家内安寧に力を尽くしたという。
13:元寿安墓誌銘

北魏・孝昌2年(526)

元寿安の墓誌の拓本。彼は北魏王室の出身であり、学問に優れ、17歳での任官以降要職を歴任した。
14:劉玉墓誌銘

北魏・孝昌3年(527)

正しく王室を補佐し、慈しみ深い政治を行った劉玉の墓誌の拓本。原石はすでに無く、伝わる拓本は貴重である。
15:高湛墓誌銘

東魏・元象2年(539)

文武の才を兼ね備え、東魏、西魏に分裂した時代に活躍した高湛の墓誌の拓本。東魏時代の墓誌の優品の1つ。
16:朱岱林墓誌銘(出土初拓)

北斉・武平2年(571)

朱岱林の墓誌の拓本。彼は聡明で、北魏の皇族にあたる王に仕えたが、出世を望まない高潔な人であったという。
17:美人董氏墓誌銘(最旧拓)

隋・開皇17年(597)

美人という女官を務め、19歳の若さで没した董氏の墓誌の拓本。隋時代の墓誌を代表する作品の1つである。
18:蘇慈墓誌銘(出土初拓)

隋・仁寿3年(603)

西魏〜隋時代に活躍した蘇慈の墓誌の拓本。彼は軍事で数々の戦功を挙げる一方、政務も公平であったという。
19:元公墓誌銘

隋・大業11年(615)

元公(名は不明)の墓誌の拓本。彼は職務に励んで出世し、地方官としては民を徳と礼によって導いたという。
20:元公夫人姫氏墓誌銘

隋・大業11年(615)

元公の妻・姫氏の墓誌の拓本。18歳で元氏に嫁いだが29歳で没し、その38年後に夫とともにこの墓誌が作られた

【2F 特別展示室】
≪第1期特別展示:10月9日(土)〜10月31日(日)≫
21:鄭道忠墓誌銘(整本)

北魏・正光3年(522)

 
22:鄭道忠墓誌銘(剪装本)

北魏・正光3年(522)

鄭道忠の墓誌の拓本。彼は静かで和やかな人柄であり、温雅な趣をそなえた姿であったという。今回は、墓誌の全景が見わたせる、拓本を採ったそのままの姿で軸装した整本と、切り貼りして仕立てた剪装本の2種を展示している。
23:鞠彦雲墓誌銘

北魏・正光4年(523)

鞠彦雲の墓誌の拓本。彼は幼少より才智と正しい行いを示し、高い徳と優れた文才をそなえていたという。
24:司馬昇墓誌銘

東魏・天平2年(535)

 
25:龍山公墓誌銘(整本)

隋・開皇20年(600)

 
26:龍山公墓誌銘(剪装本)

隋・開皇20年(600)

北周〜隋時代に活躍した龍山公(姓は銘文中には見られないが、質という名のみが知られる。)の墓誌の拓本。銘文によれば、彼は南朝・陳を滅ぼす際に第一の戦功を挙げたとある。今回は整本と剪装本の2種を展示している。
27:船氏王後墓誌銘

飛鳥(668)

推古、舒明天皇に仕え、功績のあった船王後の墓誌の拓本。原品は三井記念美術館の所蔵(国宝)である。

【2F 中村不折記念室】
28:張貴男墓誌銘

隋・大業2年(606)

邯鄲(河南省)の県令を務めた蔡氏の妻・張貴男の墓誌の拓本。彼女の行動は周囲の手本になったという。
29:梁師亮墓誌銘(旧拓)

唐・万歳通天2年(697)

珍州栄徳県(貴州省)の県令の補佐官を務め、民の信頼を得た梁師亮の墓誌の拓本。原石断裂前の旧拓本である。
30:梁嘉運墓誌銘

唐・景龍3年(709)

梁嘉運と、その夫人である陳氏の墓誌の拓本。原石は清・道光元年(1821)の秋に出土したと伝えられている。
31:高福墓誌銘(出土初拓)

唐・開元12年(724)

玄宗皇帝の下で活躍した高力士の養父・高福の墓誌の拓本。原石は行方不明といわれ、拓本は極めて少ない。
32:張希古墓誌銘

田穎(唐・8世紀頃)筆/唐・天宝15載(756)

張希古(希古は字)の墓誌の拓本。彼は、皇帝に真心をささげ、職務に励み、過ちをおかさない人物であったという。
33:張希古墓誌銘(和刻本)

江戸・文政2年(1819)

江戸時代後期の儒者・狩谷齋が所蔵していた「張希古墓誌銘」の拓本をもとにして作られた摸刻本。
34:李輔光墓誌銘(旧拓)

巨雅(唐・8〜9世紀頃)筆/唐・元和10年(815)

内侍省(宮廷内の職務を担当)の官などを務めた李輔光の墓誌の拓本。原石断裂以前の旧拓本である。

【中村不折作品】
【 洋画 】 憐れむべし自宅の写生
【 デッサン 】 裸婦立像/男子座像
【 絵画 】 寒山拾得図軸/竹林七賢図軸
【 書 】 伊藤先生碑/草書八言二句「家訓」軸
【 写真 】 不折揮毫の墓石
【 その他 】 不折揮毫の日本酒のラベル

本館(東京都指定史跡)

書道博物館本館(第1・3・4・5展示室)では、玉器、陶器、瓦当、石碑、墓誌銘、仏像、亀甲獣骨文、青銅器、璽印など、日本、中国書法史上特に重要な紙本以外の金石類に見られる文字資料を常設展示しています。
そのなかで、本企画展に関係する作品は第3展示室に展示されています。こちらもご覧下さい。

曠野将軍墓誌

北魏・正光6年(525)

曠野将軍(名は欠損により不明)の墓誌。銘文には、将軍は昼夜を問わず石窟寺院の造営を行ったとある。
李延齡墓誌

北魏・孝昌元年(525)

李延齢の墓誌。彼は宮廷内での政務を行う官や、荊州(湖北省)の官などを歴任し、また武将としても活躍した。
郭彦道墓誌

北斉・天保2年(551)頃

郭彦道の墓誌。彼は真定県(河北省)において、録事と呼ばれる官民の記録を掌握する官を務めたという。
焦宝南墓誌

唐・麟徳元年(664)

焦宝南の墓誌。彼は部下の資質を見抜く能力に長け、さらに兵法に通じ、“百夫の勇"と称されたという。
元温墓誌

唐・開元3年(715)

元温と妻の王氏の墓誌。元温は垂拱元年(685)に、王氏は開元3年(715)に没し、この墓誌が作られた。
横川郡大夫人趙氏墓誌

高麗・高宗5年/金・興定2年(1218)

夫と共に恭しく静かに暮らし、91歳の長寿を全うした趙氏の墓誌。朝鮮・高麗時代の貴重な作例である。
韓宝暉墓誌

北斉・武平2年(571)

予州(河南省)の将軍を務めた韓宝暉の墓誌。北斉時代の数少ない肉筆隷書の作例として重要な資料である。
崔瑛墓誌

唐(7〜10世紀)

博陵安平(河北省)出身の崔瑛の墓誌。銘文によれば21歳の若さで没したという。材質は塼。黒漆で書かれている。
劉浩墓誌

周(唐・7〜8世紀)

14歳で没した劉浩の墓誌。蓋(ふた)は白密陀(絵の具の原料となる鉱物の1つ)、本文は朱漆で書かれている。

ギャラリートーク(展示解説)
日時 第1回 (1)平成22年6月6日(日)10時〜
(2)平成22年6月6日(日)13時30分〜
第2回 (1)平成22年7月4日(日)10時〜
(2)平成22年7月4日(日)13時30分〜
定員 事前申込制で各回20名(応募多数の場合、日時等を変更して調整します。)
申込方法 官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし入館料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「ギャラリートーク」係まで
締切 第1回:平成22年5月26日(水)必着
第2回:平成22年6月23日(水)必着

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