この人、どんな字?-近代日本の文豪たち-

台東区立書道博物館企画展
みんなが見たい優品展 パート11
この人、どんな字?
-中村不折コレクション-
「この人、どんな字?-近代日本の文豪たち-
平成24年6月28日(木)~平成24年9月19日(水)

今回は、画家・書家であり、書道博物館創設者の中村不折が交流を深めた明治の文豪たちの書を紹介します。また、森鷗外の生誕150年を記念して、当館が所蔵する外関係資料も一挙公開します。

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【第1展示フロア- 1F】
大型展示ケース
1:龍眠帖 中村不折(1866~1943)筆/明治41年(1908)刊
中村不折が磯部温泉(群馬県)で書いた習作。出版後、書道界に大きな反響を呼んだ不折書の代表作である。
2:臨顔真卿裴将軍詩軸 中村不折 筆/大正7年(1918)
不折53歳時の書。唐時代の大家、顔真卿の書として伝わる「裴将軍詩」を臨書し、健筆会展に出品した超大作。
3:隷書李白五言律詩「戯贈鄭溧陽」軸 中村不折 筆/昭和10年(1935)
不折70歳時の書。杜甫と並び称される唐時代の詩人李白の詩を、得意の隷書で書いた作品である。
展示ケース
4:斎藤宗次郎宛書簡 中村不折 筆/明治40年(1907)
不折が明治~昭和の宗教家、斎藤宗次郎に宛てた書簡。斎藤は同郷の宮澤賢治とも親交があった。
5:羅漢図 中村不折 筆/明治42年(1909)
羅漢を描いた作品。羅漢とは“尊敬するに値する人”という意であり、一切の煩悩を断ち、悟りを極めた者のことをいう。
6:上原先生懐徳碑 中村不折 筆/大正元年(1912)
島内(長野県松本市)出身の教育者であり、和歌や俳句にも優れた上原三川を称えた石碑の拓本。
7:座右銘 中村不折 筆/昭和10年(1935)
名文として名高い後漢時代の崔の「座右銘」を隷書で書いた作品。昭和10年に雄山閣より刊行された。
【参考1】張遷碑(明拓) 後漢・中平3年(186)
【参考2】始平公造像記(最旧拓) 北魏・太和22年(498)
【第2展示フロア- 2F】
『不折山人丙辰溌墨』は、大正5~6年に中央出版協会より刊行された不折の南画集である。第一集は漱石の題辞。
8:中村不折宛書簡 伊藤左千夫(1864~1913)筆/明治34年(1901)
明治~大正の歌人、小説家の伊藤左千夫が不折に宛てた書簡。留学の前に、新橋で会えないかと尋ねている。
9:君が渡欧を送る短歌十章 伊藤左千夫 筆/明治34年(1901)
8「中村不折宛書簡」に添えられた伊藤左千夫の短歌10首。フランス留学を控えた不折を詠んでいる。
【参考3】野菊の墓 伊藤左千夫 著/明治39年(1906)刊
10:漱石居士書翰 下(3通目) 夏目漱石(1867~1916) 筆/明治38年(1905)
明治時代の文豪、夏目漱石の礼状。不折が挿画を描いた『吾輩ハ猫デアル』の初版が20日で完売したと報告している。
【参考4】吾輩ハ猫デアル 夏目漱石 著/明治38年(1905)刊
11:漱石居士書翰 上(4通目) 夏目漱石 筆/明治39年(1906)
夏目漱石が不折に宛てた書簡。漱石の短編集『漾虚集』の挿画の礼と、知人を紹介している。
【参考5】漾虚集 夏目漱石 著/明治39年(1906)刊
12:不折俳画 中村不折 筆/明治43年(1910)刊
河東碧梧桐の俳句を題材として不折が画を描いた俳画集。下冊の末には正岡子規が描かれている。
13:『不折山人丙辰溌墨第一集』題辞 夏目漱石 筆/大正5年(1916)刊
座右銘 
7:座右銘
『不折山人丙辰溌墨第一集』題辞 
13:『不折山人丙辰溌墨第一集』題辞
14:自筆俳句(「子規居士十五週忌記念画帖」所収) 河東碧梧桐(1873~1937)筆/大正(20世紀)
明治~昭和の俳人、歌人の河東碧梧桐の自筆俳句。正岡子規を顕彰して発行された画帖に収録されている。
15:中村不折宛書簡 高浜虚子(1874~1959)筆/昭和12年(1937)
明治~昭和の俳人、小説家の高浜虚子が不折に宛てた書簡。「ほととぎす」に掲載する挿画を依頼している。
16:中村不折宛書簡 犬養毅(1855~1932)筆/大正~昭和(20世紀)
内閣総理大臣を務めた明治~昭和の政治家であり、“木堂”の号でも知られる犬養毅が不折に宛てた書簡。
17:中村不折宛書簡 佐佐木信綱(1872~1963)筆/明治~昭和(19~20世紀)
明治~昭和の歌人であり、国文学者であった佐佐木信綱が不折に宛てた書簡。知人のため、不折に書を依頼している。
18:中村不折宛書簡 高野辰之(1876~1947)筆/昭和12年(1937)
明治~昭和初期の日本歌謡史、演劇史の学者、高野辰之が不折に宛てた書簡。書道博物館訪問の際の礼状である。
【参考6】雑誌表紙 中村不折 筆/明治~昭和(19~20世紀)
【特別展示室 2F】
19:子規居士尺牘 上(2通目) 正岡子規(1867~1902)筆/明治29年(1896)
明治時代の俳人、歌人の正岡子規が不折に宛てた書簡。不折の結婚を祝してカツオ節を贈る旨を記している。
20:子規居士尺牘 下(5通目) 正岡子規 筆/明治32年(1899)
正岡子規が不折に宛てた書簡。不折の画室新築の祝賀会で行う闇汁(闇鍋)の段取りについて記している。
21:俳句短冊 正岡子規 筆/明治32年(1899)
正岡子規が不折の画室新築を祝って書いた2種の俳句短冊。
22:中村不折宛書簡 正岡子規 筆/明治33年(1900)頃
正岡子規が不折に宛てた書簡。佐藤紅緑から贈られた硯を「ほととぎす」の表紙デザインに用いてはどうかという内容。
【参考7】正岡子規像 中村不折 画/明治~昭和(19~20世紀)
【中村不折記念室 2F】
23:草書七言絶句軸 副島種臣(1828~1905)筆/江戸~明治(19~20世紀)
明治時代の政治家、副島種臣が草書で七言絶句を書いた作品。書にも優れ、斬新な書風で多くの作品を残した。
24:草書五言絶句軸 奥原晴湖(1837~1913)筆/江戸~大正(19~20世紀)
江戸~大正の女流画家、奥原晴湖が五言絶句を草書で書いた作品。
25:中村不折宛書簡 森鷗外(1862~1922)筆/明治42年(1909)
森鷗外が不折に宛てたペン書きの手紙。不折の書を親友の賀古鶴所に与えたことを報告している。
26:鷗外先生書巻 森鷗外 筆/明治~大正(19~20世紀)
中村不折のもとに届いた森鷗外の書簡や筆跡を1巻にまとめたもの。不折は「外先生書巻」と題している。
①中村不折宛書簡森鷗外 筆/大正6年(1917)頃
森鷗外が不折に宛てた書簡。不折に依頼していた書作品の礼を述べている。
②中村不折宛書簡森鷗外 筆 /明治~大正(19~20世紀)
森鷗外が不折に宛てた書簡。雑誌「めさまし草」に掲載する不折の画を彫り師に出したことを報告し、礼を述べている。
③虫明盛光墓表森鷗外 筆/大正10年(1921)
江戸~明治時代の武術家、虫明盛光の墓表の原稿。この原稿をもとに中村不折が筆を執り、墓表が建立された。
④述志之詩森鷗外 筆/大正4年(1915)
森鷗外が不折に書を依頼するための原稿。「述志之詩」は、江戸時代後期の渋江抽斎が詠んだ七言絶句である。
⑤『不折山人丙辰溌墨第二集』題辞森鷗外 筆/大正5年(1916)
中村不折の南画集『不折山人丙辰溌墨第二集』に森外が寄せた題辞の原稿。
【参考8】『不折山人丙辰溌墨第二集』大正5年(1916)刊
草書五言絶句軸 
24:草書五言絶句軸
不折山人丙辰溌墨第二集 
26-⑤:『不折山人丙辰溌墨第二集』題辞
27:春宵図軸 高浜虚子 書・中村不折 画/大正2年(1913)頃
中村不折が画を描き、高浜虚子が自詠の1句を添えた合作。
28:堀越秀(九代目市川団十郎)像銘 中村不折 筆/ 大正7年(1918)
浅草寺境内にある九代目市川団十郎の像の台座にはめ込まれた銘文の拓本。森外の文、中村不折の書である。
29:森鷗外宛書簡 賀古鶴所(1855~1931)筆/明治~大正(19~20世紀)
明治~昭和の耳鼻咽喉科医師、軍医の賀古鶴所が森外に宛てた書簡。 2人は東大の同級生であり、盟友であった。
30:中村不折宛書簡軸 与謝野鉄幹(1873~1935)筆/大正11年(1922)
明治~大正時代の歌人、与謝野鉄幹が不折に宛てた書簡。『外全集』出版にあたり、その題字を依頼している。
31:中村不折宛書簡 与謝野鉄幹(1873~1935)筆/大正12年(1923)
明治~大正時代の歌人、与謝野鉄幹が不折に宛てた書簡。森外の墓石の書を催促する内容である。
32:中村不折宛書簡 森於莵(1890~1967)筆/昭和12年(1937)
森鷗外の長男で医学博士の森於莵が不折に宛てた書簡。父と同様に、母の墓石の書を不折に依頼している。
参考9】中村不折揮毫の墓石
【参考10】森鷗外遺言書(複製)

ギャラリートーク(展示解説)
日時 (1)平成24年7月22日(日)
10:00~/13:30~(どちらかを希望のこと)
(2)平成24年9月2日(日)
10:00~/13:30~(どちらかを希望のこと)
定員 会場が手狭なため、事前申込制で各回20名(希望者多数の場合は抽選)
申込方法 官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。
はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし観覧料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「ギャラリートーク」係まで
締切 (1)平成24年7月11日(水) 必着
(2) 平成24年8月22日(水) 必着
キッズセミナー「この人、どんな字?」

小・中学生対象のギャラリートークです。

日時 (平成24年8月12日(日)11:00~
定員 会場が手狭なため、事前申込制で各回20名(希望者多数の場合は抽選)
申込方法 官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし入館料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「 キッズセミナー 」係まで
締切 平成24年8月1日(水) 必着
ワークショップ「文豪たちの字をかこう!」
場所 台東区立書道博物館 新館(中村不折記念館)2階 会議室
日時 平成24年7月22日(日)、 平成24年8月12日(日) 、平成24年9月2日(日)
上記の開館時間中随時行っていますが、16:15までに会議室にお入りください。
注意 当日の観覧料のほか、参加費100円(材料費)が必要です。

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