没後70年 中村不折のすべて ―書道博物館収蔵品のなかから―

台東区立書道博物館企画展
みんなが見たい優品展 パート11
没後70年 中村不折のすべて
没後70年 中村不折のすべて
―書道博物館収蔵品のなかから―
平成25年12月17日(火)~平成26年3月23日(日)

2013年は、画家・書家・収蔵家であり、書道博物館の創設者としても知られる中村不折(1866~1943)の没後70年にあたります。そこで本展は、不折の洋画・書・日本画、フランス留学時代のデッサンや新聞挿絵、明治の文豪たちの交流を物語る資料などを紹介いたします。

近代美術史、そして近代書道史に大きな足跡を残した不折の偉業をご堪能ください。

なお、東京国立博物館東洋館第8室において、書道博物館の不折コレクションが展示されます。あわせてご覧ください。

※文章、画像の転載は固く禁じます!



【1F 第1展示フロア-】
大型展示ケース
1:『龍眠帖』 中村不折(1866~1943)筆/明治41年(1908)刊
2:遼東新報社長末永純一郎君之碑 中村不折 筆/大正5年(1916)
3:臨顔真卿裴将軍詩軸 中村不折 筆/大正7年(1918)
【1F 第1展示フロア-】若き日の不折
展示ケース

◆ 鉛筆画(道路山水)
明治21年に上京した不折が、画塾「不同舎」の塾生として学んでいた頃の鉛筆画。画面の中央に道を描き、それを挟むように一点集中の遠近法で建物や樹木を描く。この構図は“道路山水”と呼ばれた。

4:一日市場村 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896)
5:池袋村 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896)
6:千駄木町 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896)

◆ 水彩画
不同舎では、鉛筆画の十分な練習のあとに水彩画や油彩画に進むことを許されたという。

7:本と帽子のある静物 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896)
8:ランプ写生 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896)
9:樹木図 中村不折 筆/明治22年(1889)
10:農家内部 中村不折 筆/明治22年(1889)

◆ 若い頃の油彩画
長いデッサンと水彩画の練習を経て油絵具の使用を許された頃の作品。当時不折は池之端に下宿していた。

11:自画像 中村不折 筆/明治24年(1891)
12:憐れむべし自宅の写生 中村不折 筆/明治26年(1893)

◆ 清国へ ―従軍記者―
不折は明治27年に正岡子規と知り合い、新聞挿絵を担当するようになった。翌年にはともに日清戦争の従軍記者として渡清する。しかし到着した頃には停戦となっていたため、不折は約4か月間、現地の文化を見て回った。

13:子規居士尺牘 上(1通目) 正岡子規(1867~1902)筆/明治28年(1895)
14:遼左画稿乙集 中村不折 筆/明治28年(1895)
15:中国風景 財神廟 中村不折 筆/明治28年(1895)
16:中国風景 大連湾柳樹屯 中村不折 筆/明治28年(1895)
【2F 第2展示フロア-】

◆ 明治の文豪たちと不折
不折は多くの文豪たちと親交を深めた。
その様子は出版物の挿絵や表紙のデザインなどからも窺うことができる。

17:『若菜集』表紙 中村不折 筆/明治30年(1897)刊
18:『吾輩ハ猫デアル』挿絵 中村不折 筆/明治38年(1905)刊
19:漱石居士書翰 下(3通目) 夏目漱石(1867~1916)筆/明治38年(1905)
20:『不折山人丙辰潑墨 第一集』 大正5年(1916)刊
21:『野菊の墓』表紙 中村不折 筆/明治39年(1906)刊
22:子規居士尺牘 下(6通目) 正岡子規 筆/明治31年(1898)
23:俳画 正岡子規 筆/明治(19~20世紀)
24:俳句軸 正岡子規 筆/明治(19~20世紀)
25:不折山人丙辰潑墨題辞
(「鷗外先生書巻」所収)
森鷗外(1862~1922)筆/大正5年(1916)頃
26:『不折山人丙辰潑墨 第二集』 大正5年(1916)刊
27:堀越秀像銘 森鷗外 撰・中村不折 書/大正7年(1918年)
28:俳句色紙(『子規居士十五週忌記念画帖』所収) 河東碧梧桐(1873~1937)筆/大正(20世紀)
29:俳句色紙(『子規居士十五週忌記念画帖』所収) 高浜虚子(1874~1959)/大正(20世紀)
30:君が渡欧を送る短歌十章 伊藤左千夫(1864~1913)/明治34年(1901)

◆ 新聞挿絵
正岡子規に依頼されて以降、新聞挿絵は、不折のライフワークとなった。今回展示するのはその代表作である。

31:欧行画報(巴里の下宿屋) 中村不折 筆/明治34~38年(1901~1905)
32:十二支帖 中村不折 筆/明治39~大正9年(1906~1920)
【2F 特別展示室】フランス留学(1901~1905/明治34~38年)

◆ デッサン
不折ははじめラファエル・コランの画塾で学んだが、のちにジャン=ポール・ローランスの画塾に転じた。人体の部分的なデッサンから学び直し、全身を描くようになるとコンクールにも入賞し、油彩画へと進んでいくこととなる。

33:裸体習作 中村不折 筆/1901年(明治34)頃
34:裸体習作 中村不折 筆/1902年(明治35)頃
35:裸体習作 中村不折 筆/1902年(明治35)頃
36:裸体習作 中村不折 筆/1902年(明治35)頃
37:裸体習作 中村不折 筆/1902年(明治35)頃
38:裸体習作 中村不折 筆/1902年(明治35)頃

◆ 油彩画
不折は1903年(明治36)初頭に油彩画に進み、さらに人体の研究を深めた。その後取り組んだのは、当時油彩画の最終目標であった“群像による歴史画”であった。

39:老人半身像 中村不折 筆/1903~1905年(明治36~38)
40:男子立像 中村不折 筆/1903~1905年(明治36~38)
41:裸婦習作 中村不折 筆/1903~1904年(明治36~37)
42:ダンテの地獄巡り 中村不折 筆/1904年(明治37)
43:聖セバスチャンの殉教 中村不折 筆/1904~1905年(明治37~38)

◆ 留学中に入手した資料
不折はフランスにおいても美術資料の収集に努めた。なかにはローランスの親友・ロダンのデッサンもある。

44:裸婦デッサン オーギュスト・ロダン(1840~1917)筆/1904年
45:スケート アルベール・ベナール(1849~1934)筆/19~20世紀
46:マルソー将軍の死画稿 ジャン=ポール・ローランス(1838~1921)筆/19~20世紀
47:不法の君を責む ジャン=ポール・ローランス 筆/19~20世紀
【2F 中村不折記念室】不折の油彩画・日本画・書・表紙デザイン

◆ 油彩画
帰国後の不折は画家・書家として精力的に活動した。太平洋画会展・文展・帝展に作品を発表し、大正8年(1919)には帝国美術院会員にも就任している。

48:裸婦坐像 中村不折 筆/明治39年(1906)頃
49:エチュード(男子坐像) 中村不折 筆/大正8年(1919)
50:漁樵 中村不折 筆/大正11年(1922)
51:猗器の誡 中村不折 筆/昭和16年(1941)

◆ 日本画
不折の日本画は、中国の故事を題材とした作品が多い。大正初期頃は毎年のように画集が発刊され、その潤筆料をもとに、書に関する資料を収集した。依頼に応じて制作された作品のほか、長野などでは頒布会も開かれた。

52:虎渓三笑図軸 中村不折 筆/明治~昭和(19~20世紀)
53:大黒天図軸 中村不折 筆/大正13年(1924)
54:七福神嬉遊図軸 中村不折 筆/明治~昭和(19~20世紀)

◆ 書
不折の書は『龍眠帖』に見られる通り、「中嶽嵩高霊廟碑」や「広武将軍碑」など、荒削りで素朴な書を好んで学び、独自の筆法による“不折流”を確立した。各書体に優れ、碑の書や揮毫帖なども頻繁に手掛けている。

55:上原先生懐徳碑 中村不折 筆/大正元年(1912)
56:『蘭亭序』 中村不折 筆/大正元年(1912)刊
57:『蘭亭序』稿本 中村不折 筆/大正元年(1912)
58:『楷書千字文』 ジャン=ポール・ローランス 筆/19~20世紀
59:隷書李白五言律詩戯贈鄭溧陽軸 中村不折 筆/昭和10年(1935)
60:『座右銘』 中村不折 筆/昭和10年(1935)刊
61:『座右銘』稿本 中村不折 筆/昭和10年(1935)
62:草書七言二句軸 中村不折 筆/明治~昭和(19~20世紀)
63:君が代軸 中村不折 筆/明治~昭和(19~20世紀)

◆ 雑誌表紙

64:「ほととぎす」 中村不折 筆/明治37年(1904)3月10日刊
65:「ほととぎす」 中村不折 筆/明治38年(1905)11月10日刊
66:「馬酔木」 中村不折 筆/明治39年(1906)7月25日刊
64:「ほととぎす」 中村不折 筆/明治41年(1908)10月1日刊
68:「精神界」 中村不折 筆/明治42年(1909)1月15日刊
69:「太陽」 中村不折 筆/大正6年(1917)7月27日刊

◆ ほか

70:海内無双美男子不折山人自惚之像(『不折画集 第一』所収) 中村不折 筆/明治43年(1910)刊
71:不折の書画用具

ギャラリートーク「中村不折のすべて」根岸の偉人、中村不折のことを深く知ろう!
日時 平成26年1月26日(日)
(1)10:00~、(2)13:30~ (どれかを希望のこと)
平成26年2月23日(日)
(3)10:00~、(4)13:00~(どれかを希望のこと)
定員 事前申込制で各回20名(希望者多数の場合は抽選)
申込方法 官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。
はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし観覧料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「ギャラリートーク」係まで
締切 (1)・(2)平成26年1月15日(水) 必着
(3)・(4)平成26年2月12日(水) 必着
ワークショップ「中村不折の書画をかこう!」書き初めに挑戦してみませんか?
場所 台東区立書道博物館 新館(中村不折記念館)2階 会議室
日時 平成26年1月26日(日)
上記の開館時間中随時行っていますが、16:15までに会議室にお入りください。
注意 平成26年1月26日(日)
当日の観覧料のほか、参加費100円(材料費)が必要です。

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