美しい隷書-中国と日本-

台東区立書道博物館特別展 美しい隷書
中村不折コレクション
「美しい隷書 ―中国と日本―」展示一覧
平成26年 4月4日(金)~7月13日(日)
期間中、一部展示替えがあります。
【前 期】 4月4日~5月25日
【後 期】 5月27日~7月13日
本展では、漢時代の石碑の拓本を中心に、敦煌・トルファンの 文書に見る肉筆の隷書、中国や日本の書家たちによる隷書作品を、 当館の収蔵品より紹介いたします。
また、東京国立博物館東洋館8室においても、4月8日(火)~6月8日(日)まで、特集陳列「漢時代の書」を開催しています。 2館で繰り広げられる隷書の世界を存分にお楽しみください。

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【1F 第1展示フロア- 】
大型展示ケース
1:石門頌(旧拓)

後漢・建和2年(148)

不通となっていた褒斜道(かつて陝西省にあった道路)の復旧工事に尽力した楊孟文を称える「石門頌」の拓本。
2:広開土王碑(第3面・第4面)

高句麗(414)

高句麗第19代の王、広開土王(生前は永楽太王と称した)の功績を述べる「広開土王碑」の拓本。

【1F 第1展示フロア- / 】篆書から隷書へ
展示ケース
3:泰山刻石 -十字本-

李斯(?~前208)筆/秦(前219)

天下統一を果たした始皇帝が、山東省の泰山に建てさせた刻石の拓本。書体は、統一後に制定された小篆。この作品は、篆書の典型である小篆の貴重な作例の1つ。もとは223字あったが、現在は10字のみを残す。
4:之罘刻石(「汝帖」所収)

李斯 筆/秦(前219)
汝帖/北宋・大観3年(1109)作

始皇帝が建てさせた刻石の1つ。刻石はすでに滅び、北宋時代の王寀が制作した「汝帖」に14字のみが伝わる。
5:魯孝王刻石

前漢・五鳳2年(前56)
東博、書道博ともに整本を展示

五鳳2年、ある建造物の完成を記念して刻まれた刻石の拓本。篆書から隷書へと発達する様子がわかる資料。
6:萊子侯刻石

新・天鳳3年(16)
東博は整本、書道博は剪装本を展示

萊子侯という人物が子孫に土地を残すことを伝える「萊子侯刻石」の拓本。
7:三老諱字忌日記(出土初拓)

後漢・建武28年(52)頃

民衆を教化する"三老"を務めた祖父からの家系を示すため、一族の名・字・命日などが刻まれた刻石の拓本。
8:開通褒斜道刻石

後漢・永平9年(66)
東博は整本、書道博は剪装本を展示

褒斜道と呼ばれる道路の修理開通を記念して、道路の壁面に刻まれた「開通褒斜道刻石」の拓本。
9:北海相景君碑(明拓)

後漢・漢安2年(143)
東博は整本、書道博は剪装本を展示

北海国(山東省)の大臣として善政を行った景君を顕彰する「北海相景君碑」の拓本。石碑の古い作例。

【2F 第2展示フロア-】美しい隷書―八分―
10:乙瑛碑(明拓)

後漢・永興元年(153)

魯国(山東省)の大臣の乙瑛が、役人を採用して孔子廟内の器物を管理させたことを述べる「乙瑛碑」の拓本。
11:孔宙碑(宋拓)

後漢・延熹7年(164)

12:孔宙碑

後漢・延熹7年(164)

孔子19世の孫、孔宙の功績を述べる「孔宙碑」の拓本。孔宙は若い頃から徳をそなえた人物であったという。
13:西嶽華山廟碑(模刻本)

後漢・延熹8年(165)

“五嶽”の1つとして古くから崇拝された華山(陝西省)の廟内に建てられた「西嶽華山廟碑」の模刻本。
14:史晨前碑(宋拓)

後漢・建寧2年(169)
東博は整本、書道博は剪装本を展示

15:史晨後碑

後漢・建寧2年(169)

魯国(山東省)の大臣の史晨が、孔子をまつる祭祀を公費で行うよう申請し、許可されたことを述べる「史晨前碑」の拓本。「史晨後碑」には、史晨の意見が認められて祭りが行われ、供えた肉は老人や周囲の人々に分けられた、という文章が刻まれている。普通は碑の裏面を "碑陰"というが、本文が続くために"後碑"と呼ばれている。
16:韓仁銘(明拓)

後漢・熹平4年(175)

優れた政治を行ったが、若くして没した韓仁の功績を称えるため、韓仁の上役が建てさせた「韓仁銘」の拓本。
17:尹宙碑(明拓)

後漢・熹平6年(177)

後漢時代に文書を担当する官を務めた尹宙の功績を述べる「尹宙碑」の拓本。
18:張遷碑(明拓)

後漢・中平3年(186)
東博は整本、書道博は剪装本を展示

張遷の功績を称える「張遷碑」の拓本。張遷は政治手腕に優れ、民に愛情を注ぐ政治を行ったという。
19:熹平石経残石

後漢・熹平4年~光和6年(175~183)

20:熹平石経

後漢・熹平4年~光和6年(175~183)

儒教の経典を刻んだ石を石経という。この「熹平石経」は、後漢時代に作られた石経の最古の作例である。

【2F 特別展示室】
21:礼器碑(旧拓)

後漢・永寿2年(156)東博は整本、書道博は剪装本を展示

22:礼器碑

後漢・永寿2年(156)

23:礼器碑

後漢・永寿2年(156)

魯国(山東省)の大臣を務めた韓勅の功績を述べる「礼器碑」の拓本。「乙瑛碑」「史晨碑」と並び称される。
24:【重要文化財】春秋左氏伝残巻

【後期展示】南北朝(5世紀)

周~春秋時代の魯国の歴史書『春秋』に注釈を施した『春秋左氏伝』の残部。
24:【重要文化財】三国志呉志巻第十二残巻

【前期展示】南北朝(5世紀)

歴史書『三国志』のなかの『呉志』巻第12のうち、虞翻伝の残部。『三国志』の写本としては最古の部類に入るもので、この残巻の後ろには、上野コレクションの「三国志呉志第十二残巻」(重要文化財)が続く。
26: 老女人経

【後期展示】南北朝(5世紀)

『老女人経』が記された経巻の残部。楷書の歴史を知る上でも重要な資料である。
27: 心経

【前期展示】伝 空海(774~835)筆/平安・弘仁12年(821)

真言宗の開祖として知られ、"三筆"に数えられる空海が『般若心経』を書写した1巻。

【2F 中村不折記念室】 隷書から行書・草書・楷書へ
28:曹全碑(明拓)

後漢・中平2年(185)

28:曹全碑

後漢・中平2年(185)

30:曹全碑(模刻本)

後漢・中平2年(185)/江戸(18世紀)作

後漢時代に活躍した曹全の功績を述べる「曹全碑」の拓本。曹全は清廉な人格であり、武勇にも優れたという。28は明時代にとられた拓本。29は清時代末頃の拓本。30は江戸時代の日本で作られた模刻本である。
31:武氏祠石闕画像石

後漢(2世紀)

後漢時代に造営された武氏祠の内部の画像石の拓本。古代中国の神々や伝説などが彫刻されている。
32:上尊号碑(乾隆拓)

三国(魏)・黄初元年(220)頃

後漢時代末、曹丕(曹操の子)に対し、臣下たちが帝位に就くよう上奏する文が刻まれた「上尊号碑」の拓本。
33:薦季直表(「三希堂帖」所収)

鍾繇(151~230)筆/三国(魏)・黄初2年(221)
三希堂帖/清・乾隆12年(1747)作

三国時代・魏国の重臣であった鍾の書。かつて功績を挙げた季直を再び用いるよう上奏する文である。
34:月儀帖

索靖(239~303)筆/三国~西晋(3~4世紀)

西晋時代の名家、索靖の書といわれる。月儀とは、月ごとの公文書や手紙に用いる時候の言葉の用例集のこと。
35:広開土王碑

索靖(239~303)筆/三国~西晋(3~4世紀)

36:御遺告

平安(12世紀)/江戸・文化10年(1813)作

空海による25箇条の遺告(遺言)。東寺所蔵の絹本墨書の写本をもとにして作られた江戸時代の法帖である。
37:隷書八言聯

楊峴(1819~1896)筆/清時代(19世紀)

清時代後期の書人であった楊峴の書。清時代末~民国時代の大家であった呉昌碩とは師友の間柄であった。
38:隷書山谷跋語四屛

兪樾(1821~1906)筆/清(19~20世紀)

清時代後期の書人であり、優れた学者であった兪樾の書。独特の趣の隷書に優れた。
39:草書詩書巻

南山古梁(1756~1839)筆/江戸・天保4年(1833)

江戸時代後期の禅僧、南山古梁の書。南山は詩文書画にも優れ、当時の文化人たちと交流を深めた。
40:白著翁図軸

菊池容斎(1788~1878)筆/江戸(19世紀)

幕末~明治時代前期の画家であり、歴史人物画に新生面を開いた菊池容斎の作品。署名に隷書を用いている。
41:隷書七言絶句軸

佐久間象山(1811~1864)筆/江戸(19世紀)

江戸時代後期の信州(長野県)松代藩士で、思想家としても活躍した佐久間象山の隷書作品。
42:定武蘭亭序題

日下部鳴鶴(1838~1922)筆/大正2年(1913)

明治~大正時代を代表する書家の1人、日下部鳴鶴の題字。日下部の書は大久保利通らから高い評価を得た。
43:龍眠帖(複製)

中村不折(1866~1943)筆/明治41年(1908)刊

書家、中村不折の代表作。河東碧梧桐の強い勧めによって出版され、大きな話題となり、版を重ねた。
44:定武蘭亭序跋

中村不折 筆/大正2年(1913)

中村不折が版本『定武蘭亭序』に添えた跋文(奥書)。この「蘭亭序」が優れた趣を持っていることを認めている。
45:広開土王碑跋

中村不折 筆/大正8年(1919)

不折が「広開土王碑」の拓本の末に記した跋文。臨書してみると、古雅な香りが部屋中に満ちる、と述べている。
46:「三原山地蔵尊」標柱銘

中村不折 筆/昭和10年(1935)

東京都大島町の三原山に奉納、建立された地蔵尊の標柱の拓本。
47:臨西嶽華山廟碑

中村不折 筆/大正~昭和(20世紀)

48:臨張遷碑

中村不折 筆/大正~昭和(20世紀)


ギャラリートーク「美しい隷書の魅力」
日時 平成26年 5月11日(日)
(1)10:00~ / (2)13:30~ (どれかを希望のこと)
平成26年 6月 8日(日)
(3)10:00~ / (4)13:30~ (どれかを希望のこと)
定員 事前申込制で各回20名(希望者多数の場合は抽選。また、申込みの状況により、時間を変更させていただく場合がございます。ご了承の程、よろしくお願いいたします。)
申込方法 官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし当日の観覧料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「ギャラリートーク」係まで
締切 (1)、(2) 平成26年4月30日(水) 必着
(3)、(4) 平成26年5月28日(水) 必着

ワークショップ「美しい隷書をかこう!!」
場所 台東区立書道博物館 新館(中村不折記念館)2階 会議室
日時 平成26年5月11日(日)
上記の開館時間中随時行っていますが、16:15までに会議室にお入りください。
注意 当日の観覧料のほか、参加費100円(材料費)が必要です。

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