台東区立書道博物館企画展 | |
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中村不折 ―僕の歩いた道― 前編 正岡子規と出会って |
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平成26年10月11日(土)~平成26年12月21日(日) 期間中、一部展示替えがあります。 |
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書道博物館の創設者であり、画家・書家の中村不折は、還暦に「僕の歩いた道」と題した自伝を残しました。本展では、この自伝をもとに前編と後編に分け、書道博物館所蔵の様々な名品で中村不折の生涯をつづります。 前編では、若き日の不折を紹介します。幼少の頃、絵本がわりに眺めていた江戸時代の浮世絵、小山正太郎に師事していた時代の鉛筆・水彩・油彩による作品、正岡子規と出会い新聞挿絵の画家としてデビューした頃の作品、日清戦争の従軍記者として中国へ渡り、休戦当時の様子をスケッチした原稿などを展示します。 また、4年間のフランス修業時代に描かれた不折の作品、不折がパリの画塾で師事したジャン=ポール・ローランスの作品や、オーギュスト・ロダンから贈られたデッサンなど、当時の交流を示す貴重な作品を紹介します。 |
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中村不折記念館
【第1展示フロア- 1F】大型展示ケース
1:『龍眠帖』(複製) |
中村不折(1866~1943)筆/明治41年(1908)刊 平成18年(2006)復刻 |
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2:遼東新報社長末永純一郎君之碑 | 中村不折 筆/大正5年(1916) |
3:白鳥先生碑 | 中村不折 筆/昭和2年(1927) |
若き日の中村不折/~28歳
◆ 浮世絵
江戸時代に流行した庶民的絵画の総称。“浮世”とは現世のこと。風景・風俗・美人・役者などが描かれた。制作の手段としては肉筆と版画があるが、18世紀頃には多色刷りによる色鮮やかな木版画が主流となった。幼少期の不折は絵本がわりに眺めていた。
4:東海道五十三次冊(保永堂版) | 歌川広重(初代・1797~1858)筆/江戸(19世紀) |
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5:江戸名所四十八景冊(蔦吉版) | 歌川広重(2代・1826~1869)筆/江戸(19世紀) |
◆ 鉛筆画(道路山水)
明治21年に上京した不折が、小山正太郎の画塾・不同舎の塾生として学んでいた頃の鉛筆画。画面の中央に道を描き、それを挟むように一点集中の遠近法で建物や樹木を描く。この構図は"道路山水"と呼ばれた。
6:一日市場村 | 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896) |
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7:日暮里村 | 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896) |
8:築地 | 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896) |
◆ 水彩画
不同舎では、鉛筆画の十分な練習のあとに水彩画や油彩画に進むことを許された。上京後の不折は高橋是清邸の別棟入口にあった3畳ほどの部屋を借り、自炊生活を始めた。
9:本と帽子のある静物 | 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896) |
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10:風景 | 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896) |
11:朝顔を持つ少女 | 中村不折 筆/明治20年代(1888~1896) |
◆ 若い頃の油彩画
長いデッサンと水彩画の練習を経て油彩の使用を許された頃の作品。当時不折は池之端に移っていた。
12:祖父像 | 中村不折 筆/明治26年(1893) |
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【10月11日~11月16日展示】 13:憐れむべし自宅の写生 |
中村不折 筆/明治26年(1893) |
【11月18日~12月21日展示】 14:自画像 |
中村不折 筆/明治24年(1891) |
【第2展示フロア- 2F】
正岡子規と出会って/29~34歳
不折は明治27年に正岡子規と知り合い、新聞挿絵を担当することとなった。翌年にはともに日清戦争の従軍記者として渡清する。しかし到着した頃には停戦となっていたため、不折は約4か月間、現地の文化を見て回った。この旅は不折にとって最も印象深く、得るところの多い経験であったという。
15:子規居士尺牘 上(1通目) | 正岡子規(1867~1902)筆/明治28年(1895) |
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16:中国風景 財神廟 | 中村不折 筆/明治28年(1895) |
17:日清戦争スケッチ | 中村不折 筆/明治28年(1895) |
18:遼左画稿乙集 | 中村不折 筆/明治28年(1895) |
19:日本新聞社社員集合写真 | 明治29年(1896) |
20:佐藤紅緑送別会記念写真 | 明治29年(1896) |
◆ 新聞記者・中村不折-明治三陸地震津波を中心に-
日清戦争の従軍から帰国後の明治29年(1896)6月15日夜7時頃、明治三陸地震によって大津波が起こった。不折は日本新聞社の特派員として派遣され、被災地の様子を克明な挿絵で伝えている。
21:「明治三陸地震津波」挿絵 | 中村不折 筆/明治29年(1896) |
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◆ 結婚と一家
不折は、正岡子規との出会いを通して多くの文豪たちと親交を深めた。仕事の依頼は増え、収入が安定したことにより、ようやく郷里の両親を呼び寄せることができた。明治29年には堀場いとと結婚した。
22:『若菜集』 | 中村不折 筆/明治30(1897)刊 |
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23:『那破翁』 | 中村不折 筆/明治34(1901)刊 |
24:中村一家 | 中村不折 筆/明治39年(1906) |
【特別展示室 2F】
中根岸に家を建てる/34歳
結婚当初、不折一家は湯島に住んでいたが、明治30年に湯島の大火事が起こり、不折宅も危ういところであった。そこで子規たちに誘われ、明治31年、上根岸に転居する。そして翌年、不折は念願であった画室つきの自宅を中根岸に建設した。同年12月26日には子規ら客人を招いて祝賀会が行われた。
25:子規居士尺牘 下(5通目) | 正岡子規 筆/明治32年(1899) |
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26:俳句短冊 | 正岡子規 筆/明治32年(1899) |
27:中根岸の家の図 | 中村不折 筆/明治32~34年(1899~1901) |
28:中村遠江守御屋敷 | 中村不折 筆/明治38年(1905)頃 |
【2F 中村不折記念室】
フランス留学/36~40歳
明治34年(1901)、不折は節約を心がけて貯蓄に励み、ようやく留学資金をそろえることができた。同年8月パリに到着後、ラファエル・コランの画塾で学んだが、のちにジャン=ポール・ローランスの画塾に転じた。人体の部分的なデッサンから徹底的に学び直し、全身を描くようになるとコンクールにも入賞し、油彩画へと進んでいくこととなる。
29:君が渡欧を送る短歌十章 | 伊藤左千夫(1864~1913)/明治34年(1901) |
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30:パスポート | 明治34~38年(1901~1905) |
◆ デッサン
コランの画塾で学んでいた時のものは手足の描写があいまいとなっている。ローランスからはそれを指摘され、手足の部分を徹底的にデッサンした。わずか半年ほどで見違えるほどの出来栄えとなっている。
31:裸体習作 | 中村不折 筆/1901年(明治34年)頃 |
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32:裸体習作 | 中村不折 筆/1902年(明治35年)頃 |
33:裸体習作 | 中村不折 筆/1902年(明治35年)頃 |
34:裸体習作 | 中村不折 筆/1902年(明治35年)頃 |
◆ 油彩画
不折は1903年(明治36年)初頭に油彩画に進み、さらに人体の研究を深めた。その後取り組んだのは、当時油彩画の最終目標であった"群像による歴史画"であった。
35:裸婦頭胸像 | 中村不折 筆/1903~1905年(明治36~38年) |
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36:男子立像 | 中村不折 筆/1903~1905年(明治36~38年) |
37:聖セバスチャンの殉教 | 中村不折 筆/1904~1905年(明治37~38年) |
◆ 留学中の挿絵
欧行画報」は、不折がフランス留学中に目にした様々な景色を描いた新聞挿絵のシリーズである。新聞「日本」において連載された。これは留学中の不折にとって、貴重な収入源でもあった。
38:欧行画報 | 中村不折 筆/1901~1905年(明治34~38年) |
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39:欧行画報 下絵 | 中村不折 筆/1902年(明治35年) |
◆ 留学の際に携行した資料
不折はフランス留学の際、狩野派の粉本(模写本)や書の手本などを携えていた。昼間は絵画を学び、夜は携行してきた日本画や書を学んだ。
40:文殊菩薩図軸 | 伝 狩野安信(1613~1685)筆/江戸(17世紀) |
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41:魏碑 十四品 | 北魏(4~5世紀) |
42:書譜 ―嘉靖本― | 孫過庭(唐・7世紀)筆/唐・垂拱3年(687) |
◆ 留学中に入手した資料
不折はフランス留学の際、狩野派の粉本(模写本)や書の手本などを携えていた。昼間は絵画を学び、夜は携行してきた日本画や書を学んだ。
43:ジャン=ポール・ローランス肖像 | 20世紀 |
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44:マルソー将軍の死 画稿 | ジャン=ポール・ローランス(1838~1921)筆/19~20世紀 |
45:不法の君を責む | ジャン=ポール・ローランス 筆/19~20世紀 |
46:裸婦デッサン | オーギュスト・ロダン(1840~1917)筆/1904年 |
◆ 帰国
日露戦争の開戦と長女・まさの夭折によって、不折は約4年の留学に区切りをつけ、帰国することを決意した。帰りの船では、ロシアのバルチック艦隊の演習を目撃した。船の人が不折をベトナム人として乗せてくれていたことによる。こうして歴史画の研究は、帰国後独自に行われた。
47:中村まさ宛葉書 | 1901年(明治34年) |
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ギャラリートーク「不折の歩いた道―前編―」 不折はどんな人生を歩んできたのか?
日時 | 平成26年11月16日(日) (1)10:00~ (2)13:30~ |
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定員 | 事前申込制で各回20名(応募者多数の場合は抽選) |
申込方法 |
官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。 はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし当日の観覧料が必要です。 |
申込先 |
〒110-0003 台東区根岸2-10-4 台東区立書道博物館 「ギャラリートーク」係まで |
締切 | (1)、(2)平成26年11月5日(水) 必着 |