不折が愛した中国・南北朝時代の書

台東区立書道博物館企画展 中村不折 ―僕の歩いた道― 後編
中村不折コレクション

不折が愛した中国・南北朝時代の書

―439年から589年、王朝の興亡を越えて―


展示一覧
平成27年3月24日(火)~平成27年7月20日(月・祝)

会期中、下記の通り展示替えをいたします。
前期:3月24日(火)~5月17日(日)
後期:5月19日(火)~7月20日(月・祝)
本展では、不折が愛した中国・南北朝時代の書を中村不折コレクションより紹介します。北朝の力強く粗野な書、南朝の柔軟で優雅な書など、多彩で変化に富む南北朝時代の書は、不折書の原点となっています。
また、東京国立博物館東洋館8室において、4月14日(火)から6月7日(日)まで「中国・南北朝時代の書」を開催します。この期間、当館の展示と共通し、東京国立博物館で整本(石碑の全体が見られる拓本)が鑑賞できる作品については、その名称の前に【東博】の表示をしています。

※文章、画像の転載は固く禁じます!



【第1展示フロア- 1F】
大型展示ケース
★全期間展示
1:梁太祖文皇帝神道石柱題字 初公開 梁・天監元年(502)以後
2:瘞鶴銘 初公開 陶弘景(456~536)筆/梁・天監13年(514)
3:鄭羲上碑 初公開 鄭道昭(?~516)筆/北魏・永平4年(511)
展示ケース 五胡十六国 / 呉・東晋・南朝の書

第1展示フロアーでは、南朝を中心とする作品を展示している。西晋王朝の統一によって三国時代は終わったが、30年ほどで弱体化するとともに北方民族の侵入を許し、中国北部は五胡十六国時代となる。「広武将軍碑」はこの時代の代表的な作品として知られる。一方、西晋王朝は南へ移って東晋王朝となり、中国文化の中心が江南地方に移った。「爨龍顔碑」や「劉懐民墓誌銘」は南朝時代の貴重な刻石資料である。

★全期間展示
4:谷朗碑 呉・鳳凰元年(272)
5:広武将軍碑(最旧拓) 五胡十六国(前秦)・建元4年(368)
6:爨宝子碑(出土初拓) 東晋・義熙元年(405)
7:爨龍顔碑(旧拓) 劉宋・太明2年(458)
8:劉懐民墓誌銘 劉宋・大明8年(464)

【第2展示フロア- 2F】 北朝・北魏~北周時代の書

第2展示フロアーでは、北魏時代を中心とする北朝の書を展示している。北魏時代の代表的な石碑や墓誌の書、鄭道昭の書といわれる摩崖の書、そして敦煌・トルファンなどから出土した古写経などがある。

★全期間展示
9:論経書詩 鄭道昭 筆/北魏・永平4年(511)
10:韓宝暉墓誌 北斉・武平2年(571)

◆ 前期展示(3月24日(火)~5月17日(日))

11:中嶽嵩高霊廟碑(宋拓) 北魏・太安2年(456)
12:鄭羲下碑 鄭道昭 筆/北魏・永平4年(511)
13:司馬景和妻墓誌銘 北魏・延昌3年(514)
14:【東博】 張猛龍碑(明初拓) 北魏・正光3年(522)
15:馬鳴寺根法師碑(出土初拓) 北魏・正光4年(523)
16:観世音経 北魏・孝昌3年(527)
17:【東博】 敬史君碑(旧拓) 初公開 東魏・興和2年(540)
18:大般涅槃経巻第八 初公開 西魏・大統14年(548)
19:十方千五百仏名経 初公開 北周・建徳元年(572)

◆ 後期展示(5月19日(火)~7月20日(月・祝))

20:中嶽嵩高霊廟碑(旧拓) 北魏・太安2年(456)
21:大般涅槃経巻第四十 北魏・正始2年(505)
22:鄭羲下碑(出土初拓) 鄭道昭 筆/北魏・永平4年(511)
23:崔敬邕墓誌銘(最旧拓) 北魏・熙平2年(517)
24:【東博】 張猛龍碑(明拓) 北魏・正光3年(522)
25:高貞碑(出土初拓) 北魏・正光4年(523)
26:律蔵初分巻第十四 北魏・普泰2年(532)
27:諸尊陀羅尼 初公開 西魏・恭帝3年(556)
28:朱岱林墓誌銘(出土初拓) 北斉・武平2年(571)

【特別展示室 2F】
肉筆文書で見る南北朝時代の書

特別展示室では、南北朝時代の肉筆の書を展示している。敦煌やトルファンで発見された経巻文書類には南北朝時代の書も多く含まれており、当時の字姿を今日に伝えている。

◆ 前期展示(3月24日(火)~5月17日(日))

29:持世第一 劉宋・元嘉26年/北涼・承平7年(449)
30:重要文化財 三国志呉志巻第十二残巻 北朝(5世紀)
31:重要文化財 抱朴子内篇巻第一残巻 北周(6世紀)

◆ 後期展示(5月19日(火)~7月20日(月・祝))

32:仏説歓普賢経 斉・永明元年(483)
33:重要文化財 三国志呉志巻第二十残巻 南北朝(5世紀)
34:重要文化財 摩訶般若波羅蜜経巻第十四残巻 梁・天監11年(512)

【2F 中村不折記念室】
★全期間展示
35:【東博】 暉福寺碑 初公開 北魏・太和12年(488)
36:【東博】 松滋公元萇温泉頌 初公開 北魏(6世紀)
37:【東博】 西嶽華山神廟碑 初公開 趙文淵(北周・6世紀)筆/北周・天和2年(567)
38:【東博】 臨淮王像碑(明拓) 初公開 北斉・武平4年(573)

◆ 龍門造像記/前期展示(3月24日(火)~5月17日(日))
中村不折記念室では、北魏時代の書のなかでも特に人気の高い龍門造像記のなかから、前期・後期それぞれ5点を展示している。龍門石窟(河南省)は、北魏~唐時代に開かれた石窟寺院である。壁面にはレリーフ状の仏像が彫刻され、その傍らにその経緯を述べる造像記が刻まれた。

39:【東博】 牛橛造像記 北魏・太和19年(495)
40:始平公造像記(最旧拓) 北魏・太和22年(498)
41:【東博】 楊大眼造像記(最旧拓) 北魏・景明元年(500)頃
42:【東博】 鄭長猷造像記 北魏・景明2年(501)
43:【東博】 比丘恵感造像記 北魏・景明3年(502)

◆ 龍門造像記/後期展示(5月19日(火)~7月20日(月・祝))

44:【東博】 元詳造像記 北魏・太和22年(498)
45:孫秋生造像記 北魏・景明3年(502)
46:【東博】 賀蘭汗造像記 北魏・景明3年(502)
47:【東博】 高樹解佰都等造像記 北魏・景明3年(502)
48:【東博】 魏霊蔵造像記 北魏・景明期(500~503)
中村不折の書画

中村不折は明治28年、友人の正岡子規とともに日清戦争の従軍記者として渡清した。現地に到着した時にはすでに停戦となっていたため、内地の旅行を志す。その折に拓本など書の資料を目にした。そして"それまでの生涯を通して、この旅行ほど印象深いものはなく、得るところの多い経験であった"と述懐している。帰国後、不折は熱心に書の手本を収集した。明治34~38年のフランス留学の際には龍門造像記の拓本を携行し、西洋画の勉強を終えた夜間に書を習ったという。明治41年に『龍眠帖』を出版して以降の不折は書家としても活躍し、明治~昭和の日本書道史に大きな足跡を残した。

★全期間展示
『蘭亭序』 中村不折(1866~1943)筆/大正元年(1912)刊
上原先生懐徳碑 中村不折 筆/大正元年(1912)
『六朝書道論』 中村不折・井土霊山 訳/大正3年(1914)
十二支帖 中村不折 筆/大正5年(1916)
西宮酒造株式会社長伊藤君紀徳碑稿軸 中村不折 筆/大正7年(1918)
『楷書千字文』 中村不折 筆/大正8年(1919)刊
隷書李白五言律詩「戯贈鄭溧陽」軸 中村不折 筆/昭和10年(1935)

◆ 前期展示(3月24日(火)~5月17日(日))

隷書五言絶句軸 初公開 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
豊干寒山拾得図双幅 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)

◆ 後期展示(5月19日(火)~7月20日(月・祝))

行書岑参七言絶句軸 初公開 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
三保望岳図軸 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)

書道博物館 ギャラリートーク

「不折が愛した中国・南北朝時代の書」

日時 平成27年4月24日(金) (1)16:00~
(東京国立博物館との同日連携ギャラリートークです)
平成27年5月10日(日) (2)14:00~
平成27年7月10日(金) (3)11:00~/(4)14:00~
(いずれかを希望のこと/会場は書道博物館)
(1)(3)(4)は当館学芸員、(2)は東京国立博物館列品管理課長 富田淳氏が担当します。
定員 会場が手狭なため、事前申込制で各回20名(希望者多数の場合は抽選)
申込方法 往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。
はがき1通につき1名の申込となります。聴講無料。ただし入館料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「ギャラリートーク」係まで
締切 (1)平成27年4月14日(火) 必着
(2)平成27年4月28日(火) 必着
(3)(4)平成27年6月30日(火) 必着

書道博物館 ワークショップ

「中国・南北朝の書を体験!」

場所 台東区立書道博物館 新館(中村不折記念館)2階 会議室
日時 平成27年5月10日(日)
平成27年7月10日(日)
上記の開館時間中随時行っていますが、16:15までに会議室にお入りください。
注意 当日の観覧料のほか、参加費100円(材料費)が必要です。

東京国立博物館 ギャラリートーク

「中国・南北朝時代の書」

場所 東京国立博物館 東洋館8室
日時 平成27年4月24日(金)18:30~
(書道博物館との同日連携ギャラリートークです)
担当 東京国立博物館列品管理課長 富田淳
注意 事前申込不要、聴講無料。ただし当日の観覧料が必要です。

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