漢字のヒ・ミ・ツ ―甲骨文字から楷書まで―

台東区立書道博物館企画展 漢字のヒ・ミ・ツ
中村不折コレクション

漢字のヒ・ミ・ツ

―甲骨文字から楷書まで―


展示一覧
平成27年8月1日(土)~平成27年11月15日(日)

会期中、展示替えがあります。
前期:平成27年8月1日(土)~9月27日(日)
後期:平成27年9月29日(火)~11月15日(日)

作品名の前に[前][後]の表示のないものは全期間展示です
本展では、現存する最古の漢字といわれる甲骨文から、現在わたしたちが漢字の標準体として使用している楷書に至るまでの、書体の変遷と変化の妙を、書道博物館のさまざまな名品で紹介します。また、中村不折による漢字の変遷の挿絵などもあわせて展示します。

※文章、画像の転載は固く禁じます!



【第1展示フロア- 1F】
展示ケース
★殷時代 ―漢字のはじまり―

漢字は、もののかたちを写しとった絵文字のようなものや、物事の状態を点や線でわかりやすく表したものなどがそのはじまりであった。現在見ることのできる最も古い漢字は、約3500年前に亀の甲羅や牛の骨に刻まれた占いの記録、甲骨文である。

1:甲骨文(第一期/牛肩胛骨) 初公開 殷(前13世紀)
2:甲骨文(第二期/亀腹甲) 初公開 殷(前12世紀)
3:甲骨文(第三期/亀腹甲) 殷(前12世紀)
4:甲骨文(第四期/牛肩胛骨) 殷(前12世紀)
5:甲骨文(第五期/亀腹甲) 殷(前11世紀)
◆ かんじのどうぶつえん

甲骨文のなかには、動物をかたどって作られた字もある。動物の全身をかたどる、顔のみをかたどる、特徴を強調するなど、字によってとらえ方が異なる。


大型展示ケース

古代中国において、青銅(銅を主成分とする合金)が使用されるようになるのは今からおよそ4500年前。そこから1000年ほど経過した殷時代後期の青銅器は、技術・量ともに極めて高い水準に達した。それらは神や祖先を祭るための神聖な器として使用された。

6:大盂鼎銘 西周(前11世紀頃)
7:散氏盤銘 西周(前9~前8世紀)
8:毛公鼎銘 西周(前9~前8世紀)
9:邢仁佞鐘銘 西周(前9~前8世紀)
10:石権銘 秦(前221)

【第2展示フロア- 2F】

◆ 西周時代
西周時代の漢字は、当時さかんに作られた青銅器に見られる。西周時代の青銅器は神や祖先を祭るほか、王との強い結びつきを示すものでもあった。よって器には作器者の功績を述べる銘文が見られる。
西周時代の漢字は、中~後期にかけて絵画的な要素がぬけていき、線の太さも一定になっていく。

11:器の蓋 初公開 殷(前13~前11世紀)
12:婦?卣(蓋) 西周(前10世紀)
13:けん尊銘 西周(前11世紀~前10世紀)
14:追?(蓋) 西周(前9世紀)
15:史頌? 西周(前9世紀)
16:小克鼎 西周(前9世紀)
17:応侯見工鐘 西周(前10世紀~前9世紀)

◆ 春秋戦国時代
西周王朝の力が弱まると、それまで王を支えていた者たちが、それぞれ自分の国を興し、文化を発展させた。漢字もまたそれぞれの国ごとに発達し、広まっていく。

18:許子妝簠銘 春秋(許/前8~前5世紀)
19:陳純釜銘 戦国(斉/前5~前3世紀)
20:[前] 石鼓文(明拓) 戦国(秦/前5~前4世紀)
21:[後] 石鼓文―安国本―(宋拓) 戦国(秦/前5~前4世紀)

◆ 秦時代
戦国時代の末、今の陝西省付近の1国であった秦国がほかの国をすべて滅ぼし、初めて天下を統一した。この時、始皇帝は国によって姿の異なる漢字を統一した。こうして作られたのが小篆である。

22:[前] 泰山刻石―百六十五字本―(宋拓) 李斯(?~前208)筆/秦(219)
23:[後] 泰山刻石―十字本―(出土初拓) 李斯筆/秦(219)
24:秦詔版 秦(221)
25:銅権 秦(221)

◆ 漢時代
小篆は正式な場において用いられた書体であり、日常的にはすでに書きやすい書体が工夫されていた。篆書の筆画を簡単にした初期のものを"古隷"という。ここからさらに発達し、横画の終筆にハライ(波磔)が加わる隷書の典型"八分"が後漢時代に完成する。

26:居摂墳壇刻石 初公開 前漢・居摂2年(7)
27:[前] 開通褒斜道刻石(最旧拓) 後漢・永平9年(66)
28:[後] 開通褒斜道刻石(旧拓) 後漢・永平9年(66)
29:熹平石経残石 後漢・熹平4年~光和6年(175~183)
30:[前] 白石神君碑(最旧拓) 後漢・光和6年(183)
31:[後] 孟琁残碑 漢(前3~3世紀)

◆ 三国時代
後漢時代の終わりころから、隷書をすばやく書くことのできる行書・草書が発達する。そして隷書もまた楷書へと発達していく。三国時代、魏の国に仕えた鍾繇の書は、楷書へと発達する初期段階の字姿である。

32:薦季直表(「鬱岡斎墨妙」所収) 初公開 鍾繇(151~230)筆/原跡:三国(魏)・黄初2年(221)
鬱岡斎墨妙:明・万暦39年(1611)
33:月儀帖 索靖(239~303)筆/原跡:三国~西晋(3~4世紀)

【特別展示室 2F】

◆ 南北朝時代
楷書が発達するこの時代は、南北それぞれにおいて王朝の興亡が繰り返された。北朝の書の字姿は総じて力強く、一方の南朝は、北方の戦乱から逃れた貴族たちによる華やかな文化を背景に、上品で優美な字姿となる。ここでは、北朝の石碑の拓本と、南朝の書の基礎を築いた王羲之・王献之の書を展示している。

34:[前] 楽毅論(「停雲館帖」所収) 王羲之(303?~361?)筆/原跡:東晋・永和4年(348)
停雲館帖:明・嘉靖39年(1560)
35:[後] 黄庭経(「停雲館帖」所収) 王羲之(303?~361?)筆/原跡:東晋・永和12年(356)
停雲館帖:明・嘉靖39年(1560)
36:地黄湯帖(複製) 王献之(344~388)筆/原跡:東晋(4世紀)
37:地黄湯帖(「筠清館帖」所収) 王献之 筆/原跡:東晋(4世紀)
筠清館帖:清・道光10年(1830)
38:[前] 霍楊碑 初公開 北魏・景明5年(504)
39:[前] 高洛周等造像碑 初公開 北魏・正始元年(504)
40:[後] 弥勒下生像趺石銘 北魏・正光6年(525)
41:[後] 呉氏造像碑 初公開 北魏(4~6世紀)

【2F 中村不折記念室】

◆ 隋時代
混乱の南北朝時代を統一したのは隋王朝。この時代、北朝の書と南朝の書が融合し、次の唐時代に楷書の美しさが頂点に達することとなる。

42:[後] 龍蔵寺碑 隋・開皇6年(586)
43:[後] 大方等大集経巻第二十 隋・開皇15年(595)
44:[前] 美人董氏墓誌銘(最旧拓) 隋・開皇17年(597)
45:[後] 蘇慈墓誌銘(出土初拓) 隋・仁寿3年(603)
46:[前] 張貴男墓誌銘 隋・大業2年(606)
47:[前] 真草千字文―関中本―(明拓) 智永(陳~隋・6世紀頃)筆/隋(6~7世紀)
48:[後] 元公墓誌銘 隋・大業11年(615)
49:[前] 僧伽吒経巻第二 隋・大業12年(616)

◆ 唐時代

50:孔子廟堂碑―陝西本― 虞世南(558~638)筆/唐・武徳9年(626)
陝西本:北宋(10世紀頃)
51:九成宮醴泉銘 欧陽詢(557~641)筆/唐・貞観6年(632)
前期展特別展示(8月1日~9月27日) ―糸瓜忌―

9月19日の正岡子規の命日、糸瓜忌を記念し、前期展にあわせて子規および子規の関連作品を展示しています。

俳句軸 正岡子規 筆/明治30~31年(1897~1898)
正岡子規像(デッサン) 中村不折 筆/明治~昭和(19~20世紀)
中村不折の書・画・新聞挿絵・雑誌の表紙デザイン

◆ 書

臨石鼓文冊 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
[前] 行草書八言二句軸 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
[後] 草書菅原道真七言絶句「九月十日」軸 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
[後] 草書八言二句軸 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
[前] 白衣大士図軸 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
[後] 羅漢図軸 中村不折 筆/明治~昭和(20世紀)
[後] 猫図軸 初公開 中村不折 筆
小川芋銭(1868~1938)画/明治~大正(19~20世紀)

◆ 新聞挿絵

十二支帖 中村不折 筆
  羊字之変遷 明治40年(1907)1月7日
  虎字ノ沿革 大正3年(1914)1月4日
  兎ノ古文 大正4年(1915)1月9日

◆ 雑誌表紙

「ほととぎす」装幀 中村不折 筆/明治37~42年(1904~1909)

キッズセミナー

漢字のヒ・ミ・ツ
(台東くんがあそびにくるよ)

小・中学生対象のギャラリートークです。

日時 平成27年8月9日(日) (1)11:00~
定員 会場が手狭なため、事前申込制で20名(希望者多数の場合は抽選)
申込方法 官製往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。
はがき1通につき1名の申込みとなります。聴講無料。ただし入館料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 「キッズセミナー」係まで
締切 平成27年8月4日(火) 必着

ワークショップ

いろんな漢字を書いてみよう!

場所 台東区立書道博物館 新館(中村不折記念館)2階 会議室
日時 平成27年9月20日(日)
平成27年10月25日(日)
上記の開館時間中随時行っていますが、16:15までに会議室にお入りください。
注意 当日の観覧料のほか、参加費100円(材料費)が必要です。

ギャラリートーク

漢字の歴史

小・中学生対象のギャラリートークです。

日時 平成27年9月20日(日) (2)10:00~ (3)13:30~
平成27年10月25日(日) (4)10:00~ (5)13:30~
(上記(2)~(5)のいずれかを選択してください)
定員 会場が手狭なため、事前申込制で各回20名(希望者多数の場合は抽選)
申込方法 往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、年齢、希望日時を、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を明記して下記までお申込下さい。
はがき1通につき1名の申込となります。聴講無料。ただし入館料は必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 ギャラリートーク係まで
締切 (2)(3)平成27年9月8日(火) 必着
(4)(5)平成27年10月13日(火) 必着

本館(東京都指定史跡)

書道博物館本館(第1・3・4・5展示室)では、玉器・陶器・瓦当・石碑・墓誌・仏像・甲骨文・青銅器・璽印など、日本・中国書法史上特に重要な紙本以外の金石類に見られる文字資料を常設展示しています。



メニュー

閉じる